スペインワインで幸福な「場」を作る。日本とスペインを繋ぐひと 原田郁美。

スペインの銘醸地”プリオラート”で世界30ヶ国以上に輸出しているワイナリー「グリフォイ・デクララ」のファミリーの一員であり、スペインと日本を繋ぐ仕事をしている原田郁美さん。
スペインワインに魅せられて以来、ワインへの情熱のままに人生を切り開いてきました。現在はスペインに住む郁美さんが、初めてスペインに出会った時から今に至るまでのお話を伺いました。

郁美さんは今、どんなお仕事をしていますか?

スペインから、スペインワインと食の魅力をお届けするため、スペイン産のワインや食品のコーディネート・プロモーションを行っています。日本では「スペインワインと食協会」を立ち上げていて、今年で9年になります。

縁あって、グリフォイ・デクララの5代目当主で醸造家の夫ロジェール・グリフォイ・デクララと出会い、2012年にスペインに移住しました。グリフォイのワインも元々は、スペインに出張した時に、シウダレアル県で開催された一大ワイン見本市でその美味しさに出会い、日本に紹介したいと思ったワインだったんです。

スペインワインは上質で個性的なものが沢山あるので、日本でも、もっと知っていただきたいという気持ちで2010年よりこの仕事を始め、結婚後もグリフォイ・デクララをはじめ、おいしいワインや食品を日本にお届けするお手伝いをしています。

日本人である私が、日本人の口に合うワインや食品をスペインで発掘し、生産者の熱い想いと共に、日本の皆さまにご紹介し味わっていただく。 「日本とスペインを繋ぐ架け橋」になりたいという想いを込めて、このサービスを「プエンテ(かけ橋)」と名付けました。

スペインワインの魅力ってどんなところですか?

スペインはぶどうの栽培面積が世界一なのですが、その理由の一つは、ぶどうが育つのに適した土地、といえると思います。今でも樹齢100年を超える古木が残り、スペイン固有のぶどう品種の豊富さ、産地の多様さも魅力の一つだと思います。 

また、気候的にもぶどう栽培に適していて、特に地中海側や中央部 は、年間を通して晴天で雨が少なく乾燥しているので、オーガニック栽培がしやすい環境にあります。これはスペインならではの、恵まれたことだと思います。

スペインワインの良さは、ぶどうの質の高さ、豊富な固有品種、ローマ時代以前から続くワイン造りの歴史、そして新潮流の醸造家の精神が融合し、これまでにないエレガントな味わいを表現しているところでしょうか。

スペインは1980年代にようやく民主化が安定した国で、それまで経済や産業が世界に開かれていませんでした。そのため、国際的にスペインワインの存在が注目されることは少なかったのですが、その頃に国外に醸造を学びにいった若者が、研鑽を積んで帰ってきています。彼らは新しい感性と、伝統的な製法、その地で育ったぶどうを掛け合わせ、これまでのスペインになかったワインを生み出しました。

伝説のレストランとなった「エル・ブジ」のフェラン・アドリアや、バスク地方の優れたシェフたちの活躍により、昨今のスペインのガストロノミーは世界トップレベルと言っても過言ではありませんが、食と共にスペインワインも進化し続けていて、ヨーロッパの旧ワイン生産国の中で、品質の向上がもっとも著しいと言われています。また、欧米の著名なソムリエやワインジャーナリストたちからも、高い評価と注目を集めています。