ベトナムの味で世界が変わった。ベトナムサンドイッチ・バインミーを作るひと 島田孝子

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andiのバインミーの特徴は?

ベトナムではバインミーはストリートフードなので、小腹が空いた時に簡単に食べるもの。だから、具材の量も少なく、シンプルなものが多いんです。でも、日本で食べる場合は大体がランチとしてなので、それだけでお腹がいっぱいになるように「なます」の味付けもしっかりとつけ、量も増やし満足感を意識しています。

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本場のベトナムの味だけに縛られず、来てくれるお客さんが「楽しい」と思ってもらえるようなメニューの方が大事だと思っています。ただ、なんでもありにすると、バインミーと普通のサンドイッチの境がなくなってしまうので、「スパイス・ハーブ・エスニック味」という基本はブラさず、その中でいろんな季節のメニューを加えています。

バインミー

世田谷では7年続いているんですね。下北沢での失敗と何が違うと思いますか?

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一つはやっぱり経営の仕方なのかな。もちろん、今でもちゃんとできている自信はないのですが、原価計算をちゃんとして、利益が出せて、スタッフとお店を続けられるように考えています。食材って、こだわろうと思えばどこまでもこだわれるから、知らず知らず原価が高くなっていることも。

ただ、原価計算も細かければいいかというと、そういうものでもなくって。このバインミーを見て、お客さんがいくらだったら気持ちよく買えるか、また食べたいって思ってくれるか。そんなことを総合的に考えています。前のお店ではそういうことに意識が薄かったのではないかな、と。

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あとは、小さいチャレンジをコツコツ続けられたこと。自分を大きく見せようとしたり、一発逆転を狙うんじゃなく、できる範囲でチャレンジする。
前のお店は軌道に乗らないうちから、大きなチャレンジをして失敗し、痛手を受けることがあったので、そういうことは避けなければと思います。

私は、失敗してもマイナスにならない程度のチャレンジを何度も繰り返しました。自分を大きく見せないで、小さな成功体験を積んでいく。たとえ失敗してもそんなに痛手ではないから、またチャレンジできる。そうやってコツコツと地盤を固めてられたんじゃないかな。

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自分の作った世界は自分にとって最高の場所?

私は自分が納得しないと先に進めないタイプ。そんな人なので、自分でお店を持てて本当に良かったと思っています。自分の責任で自分の好きなことができる。大変なことはあるけど、だいたいそういうのって自分で大変にしてることが多いから。大変ならやめちゃおう、と考えるようにしています。

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お店の閉店時間も、初めは19時まででしたが、今は16時まで。バインミーは夕食という感じではないし、店の前にある大きな病院が閉まる時間には、人通りもグッと少なくなるんです。無理に夜まで開けている必要がないと思って、徐々に時間は早まり、最終的に16時で落ち着きました。

スタッフは女性ばかりで、私も含め、家族と暮らしている方がほとんど。家に帰ってからも家事をすることを考えれば、16時に仕事が終わると生活もしやすいんです。固定概念に囚われず、自分たちにとって働きやすい環境を作っていきたいんです。

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私は、接客も、調理も、レシピ作りも、経営も、全部やってみたいこと。それが叶うのは自分のお店しかない。ずっと自分のお店を出すために必要な経験を集めてきました。そうして、今、大好きなバインミーのお店を大事なスタッフとともに続けられることがすごく幸せなことだなって実感しています。

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島田孝子

デザイン学校を卒業し、建築デザイン会社に勤務した後、20代半ばにワーキングホリデーでオーストラリアへ。 滞在中、ベトナム料理店で働いたことをきっかけに、食に興味を持つ。その後、アジア各国を放浪しながら、独学でアジア食について学び、帰国。 アジア料理、野菜料理を中心としたコーディネーターとして活動。 2013年10月 ベトナムやアジア料理の魅力発信の拠点とすべく、祖師谷大蔵に、ăn di をオープンさせる。

http://www.andi-setagaya.com/