お菓子を作る人、食べる人を繋ぐ。スイーツプランナー 平田早苗

情報収集と経験とインスピレーション

海外に行くことも多かったそうですね。

はい。スイーツプランナー の仕事は、お菓子業界の流れや、いろんなお菓子について知っておくことも大事で。ここ数年は難しくなりましたが、通常であれば年5、6回は海外へ行くなど、長年、国内外のスイーツ情報を集めてきました。
日常の中でも、時間があればデパ地下を見て回ったり、素敵なお店の内装をチェックしたり。美術館へ行ってインスピレーションを受けることもあります。

そういった情報や、過去の経験が頭の中に蓄積されているので、クライアントの話を聞いた時に、頭の中の引き出しの情報と繋がってアイデアがパッと浮かんでくる感覚があるんですよ。

海外のスイーツの中には、日本にはまだない発想も沢山あって、新商品の参考になりますが、新しければ売れる、ということでもないので、日本の市場や流れを考慮したタイミングがすごく重要になります。こういった感覚も、これまでの経験や失敗の上に成り立っているので、どんな経験も活きているなと思います。

自分が出せるものを出し切り、自分が関わったことでクライアントの状況が改善されることが何よりも嬉しいですね。

ウイスキーとチョコレートのテイスティングの世界

そのほかに、チョコレートやウイスキーの仕事もしているそうですね。

そうなんです。現在はチョコレート検定の公式テキストの制作協力や、雑誌「ウイスキーガロア」でウイスキーのテイスティングコメントを寄稿したり、審査員なども務めています。

昔から、チョコレートは「嗜好品」でもあると感じてました。嗜好品として代表的なワインやチーズなどは、深く勉強できる本や講座が沢山あり、資格もありますよね。チョコレートもカカオ豆の種類や産地、作り方により多種多様な味わいを楽しめる深い世界なので、ワインやチーズと同じだなと思ったんです。

でも、私がそれに気づいた時には、まだチョコレートのテイスティングを学ぶ講座や資格はなかったんです。ワインやチーズはテイスティングが学べるなら、チョコレートにもあっていいのでは、と思いました。

「チョコのテイスティング??」と、最初はなかなか響かず、お客様からは「どうしてチョコレートを勉強しなければならないのか?」と聞かれることもしばしば。集まる人数も少なかったんですが、赤字でも続けようと決めていました。

チョコレートはウイスキーと相性が良く、チョコレートを学ぶうちにウイスキーの世界にも魅せられていきました。ウイスキーについても研究を深め、チョコレートとウイスキーのマリアージュ講座を企画したんです。それがヒットしまして、テイスティング講座も沢山の人が来てくれるようになりました。

そこからウイスキーの世界とも縁が深くなり、ウイスキー文化研究所が発刊している「ウイスキーガロア」という専門誌の中で、テイスターとして新商品のテイスティングコメントを担当するほか、TWSC(東京ウイスキー&スピリッツコンペティション)という日本で初めてのお酒のコンペティションで審査員も務めています。今は平田早苗のショコラ旅という連載エッセイも書かせていただいています。