性をよろこび、性を発信するひと。 愛サイエンティスト・アモ

45歳を過ぎて風俗の世界に飛び込んだアモさん。カウンセラーの仕事が順調になっていたにも関わらず、「女性であること」を忘れたくないと自分に向き合った結果、選んだ道。2019年からはがソープ嬢であることもオープンにし、自身の体験やそこでの思いを発信している。女性にとっては壁となりやすい年齢や周囲の視線も乗り越え、愛や女性のよろこびについて明るく真摯に向き合う姿は同性から見てもかっこいい。

覚醒体験映画で感じた自分の本当の気持ちとは?

自分の性について考え始めた最初のきっかけは「くう」という映画でした。
ある時、高校の同級生が映画監督をしてるのを知ったんです。作っているのは覚醒体験映画だって言うんですよ。覚醒映画ってなんだ?と思って観に行ったんです。映画の内容は全く性的なものではなく不思議な映画なのですが、観ている人の中にある潜在的な欲求を呼び起こすものなのかもしれません。

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私は、なんだかそれにハマってしまって2、3回観たんです。映画を観た後にいろんな思いが浮かんできて。その頃、私は離婚をしてしばらく経っていて、彼氏もずっといなくてセックスも長い間していませんでした。「女性としてこのままでいいのかな」と思ったら、恋愛をしたいという気持ちが湧いてきたんです。

まずは恋愛に飛び込んでみる

40歳を過ぎていましたが、「女を捨てずに恋愛を楽しんでみよう!」とまずはマッチングアプリに登録。そこでは5人の男性と会ってお茶をしてみました。
一人の男性とは関係を持ちました。私はその人のこと好きになったんですけど、こちらが積極的になったら相手に引かれてしまって。連絡が取れなくなったんですよね。その時、これじゃあラチがあかないと思ってしまって笑。

それで考えたんです。私は恋愛がしたいのか、セックスがしたいのか。

それまではどちらかというと性に対して堅いタイプでした。貞操を守りたい気持ちが強くて、初めての体験も遅かったし、簡単に男性と関係を持つことなんて出来ない人だったんです。だから、会って2、3回の人とこんなに軽い感じでセックスをしたのは初めてで、自分に対して驚きがありました。

経験も少ない自分だけど、これからもっといろんな体験ができるのかもしれない。自分の中の女性性が蘇りそうな気がして、元の生活に戻るのは惜しい気がしがしました。

マッチングアプリのようなサービスの中では、恋愛のプロセスを楽しむ部分も多いのですが、私はそういうのは必要ないと思ったんです。セックスには興味ないよ、みたいな建前はもう要らないって。

でもダイレクトな出会い系サイトはどんな人が来るのかわからないし、知らない人といきなり二人っきりになるのも怖い。だったら、お金がもらえて、ちゃんとスタッフがいる風俗店の方が逆に安全じゃないかな、と思うように。それで面接に行ってみようと思いました。

風俗店に面接に行く?!

せっかくやるなら記念に吉原遊廓に行ってみようと。素人だし、経験も少なく、何も知らない、40歳を過ぎた私が受け付けてもらえるかもわからなかったんですが、自分でネットで調べてみて、ここならいいかな、と思うお店を見つけて連絡してみました。

面接に行くと、心配していたようなことは一切なく、いつからにする?写真も撮っちゃいましょう、とサクサク話が進みました。

でも、あまりにも話が簡単に進みすぎて、「本当にいいのかな?」という思いが湧き上がってきて。うちに帰ってから「やっぱりやめます」と断りました。
その時、カウンセラーの仕事をしてクライアントもいましたし、ここで風俗に手を染めたら人に言えない過去ができてしまう。それはやっぱり越えてはいけないハードルかな、と思ったんです。

ようやく心が決まった日

それから二ヶ月後、また映画「くう」を見に行きました。そして自分と対話したんです。

「こんなに気になってるのに、どうしてやってみないの?」
「汚点とか、そんなこと、もうどうでもいいんじゃない?人に言いたくなければ言わなきゃいいし、嫌なことがあったらすぐに辞めたらいいじゃない。」
そうやって一通り自分の思いを受け止めてみたら「とりあえず一日だけやってみよう。」と心を決められたんです。

そして、実際一日やってみたら、そんなに嫌じゃなかったんです。忙しくて色々考える暇もなく1日が終わり、これなら続けてみてもいいかもしれない、と思えたんです。それから今に至るまで4年も続けられました。