女性を描き続けていく。絵を描く人 ハラダエリコ

才能ってなんだろう?

ハラダエリコ

ありきたりな言葉かもしれませんが情熱、でしょうか。描き続ける情熱。その中で自分の描くものがマイナーチェンジしていくこともありますが、いつでも自分から生み出されたものを好きでいること、受け入れる柔軟性。今はそういうものを才能だと思うようになりました。

私は絵を教えることもあるのですが、絵は練習して描いていけば誰でも上手に描けるようになります。そして、それぞれに独特な線の引き方や色の使い方があって、それは生まれ持ったもので、それが個性ですよね。個性が際立ったものを「才能」と呼ぶ人もいるかもしれませんが、それだけでは何にもなりません。
それよりも個性を磨き続けることや、「絵を描くこと」自体を追求し続ける姿勢、続けるということをできることが「才能」なのではないかなと思うようになりました。

自分のスタイルはどうやって決まる?

西荻窪コッポドヂーア イラスト

私のスタイルが定まってきたのはここ2年くらいかもしれません。描いて人に見てもらううちに、「こんな絵を描く人なんだね」と人から言われて自分のスタイルがどんなものかわかってきた感じです。

学生時代に友人が「自分のスタイルがわからない」と、先生に相談をした時に「お前みたいな小娘にスタイルなんてあるか!(笑)」と一蹴されていて。「スタイルなんて作るものじゃなく、描いて描いて後からついてくるものだ」と。確かに~!って思い出しては深く頷いてしまうんです。

ハラダエリコーアトリエ

スタイルを探そうとしない。数をこなすことで見えてくる自分の色が誰にでもあるんです。結局人は誰かにはなれないんです。自分は自分でしかないから、そこでもがくしかないと腹をくくっています。

創造性をフレッシュにするためにしていること?

私は自然に助けられています。都内に住んでいますが、家の周りも緑が深い公園があって。そこで木に触れたり、ベランダから景色を眺めたり。後は料理をすることでもフレッシュになるかな。

古美術商で働いていた時、尊敬していた上司から「古美術商たるもの、感性を磨きなさい」と言われました。それは美味しいものを食べておいしいと感じる分かりやすいものでなく、道端に咲いている小さな花を美しいと思える、といった日常の中で「美しさ」を感じる感性なんです。なので、特別なことよりも日常の中で感じる発見に注目しています。

感性が鈍るとインスピレーションって受け取れないんです。とても小さな声だったり、些細なサインだったりするので。