ベトナムの味で世界が変わった。ベトナムサンドイッチ・バインミーを作るひと 島田孝子

andi-島田孝子さん

2013年、世田谷に一軒のバインミー屋さんができました。バインミーとはベトナムのサンドイッチのこと。「なます」やパクチー、肉や魚などの具材を挟んだエスニックな味わいで、ヘルシー志向な女性にも人気なサンドイッチ。日本ではまだ知られていない時からバインミーのお店を開くために経験を集めてきた島田孝子さん。バインミーは「パンと具材のバランスが大事」という島田さん。好きなコトと仕事にし、サンドイッチ同様、生活との「バランス」を保っています。その秘訣は。

バインミーとの出会いはいつ?

バインミー

24歳の時、それまで勤めていた建築デザインの会社を辞め、ワーキングホリデーでオーストラリアに行きました。特に目的はなく、自分の世界を広げたい、そんな軽い気持ちでした。ステイ中、ベトナム料理のレストランでアルバイトをしたんですが、その時にベトナム料理の美味しさにはまってしまって。

本場の味を味わってみたくなり、オーストラリアを離れた後、そのままベトナムへ。当時、まだベトナムは今のように近代的に発展していなかったのですが、人々は路上でコーヒーを飲み、パンを食べていました。

andiバインミー

「パンとコーヒー、、、!」その食文化は、自分の中の「アジア」のイメージと大きなギャップが。そして、そのパンが本当に美味しかったんですよ。今となれば、ベトナムはフランス占領下時代があったので、パン文化が根付いていてもおかしくないんですが、当時はただただ衝撃だったんです。

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その衝撃とパンの美味しさは強烈に私の中に残りました。バインミーはそんな美味しいパンに「なます」や具材を挟んだベトナムのサンドイッチ。それまで本格的な料理の仕事をしたことはなかったのに、バインミーのお店を日本で出したいと自然に思うようになっていました。

日本に帰ってきてからは料理教室や飲食店で働きながら、ベトナム料理教室に通って勉強しました。現地ベトナムにも数え切れないほど沢山足を運びました。本当にベトナムが大好きになってしまって。

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そして、何度もベトナムに訪れるうちにベトナムに友人ができ、自宅に招いてもらうように。友人のお母さんからも現地の料理を沢山教えてもらいました。そんな出会いもベトナムに惹かれるポイントでしたね。ベトナムには、人間味のある優しい人たちが多いんです。

イラン人と一緒にバインミー屋を開く!?

30歳を過ぎた頃に転機があったんです。ベトナム料理を深めつつ、とあるカフェで働いていた時、そこの店主から好きなことやってみてもいいよ、とチャンスをもらったんです。そこで初めてバインミーをメニュー化して提供しました。そうしたら、やっぱり反応が良くって。これは行ける!って自信がつきました。

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そんな時、そのお店にお客さんとして食べに来ていたイラン人の方から「一緒にバインミーのお店やりませんか?」って声をかけられたんです。イラン人って言うと意外すぎて驚かれますが笑、自分でお店をやってみたいと思い続けていたので、チャンスだと思いました。

資金面やお店の経営に関してはそのイラン人の方が行い、私はメインシェフとして材料の調達やメニュー内容、お店の運営に関してすべて任せてもらえたんです。

仕入れに向けて、自分の納得のいくパン屋さん、肉屋さんを探し、メニューを考えました。自分のお店を持てる喜びでいっぱいでした。