命のきらめきが愛おしい。デイサービスを経営するひと 浦めぐみ

おじいちゃん、おばあちゃんが大好き!そんな思いが溢れ、30代で起業し、デイサービス事業を始めた浦 恵(うら・めぐみ)さん。たくさんの高齢者の方々と豊かな時間を作り出すことに情熱を注ぎ、こんな楽しいデイサービスは他にはないと自負できるまでに。福祉の世界を明るく照らしてくれるめぐみさんの起業に到るまでのお話、経営についての独自の視点を語っていただきました。

わたしの理想のデイサービス

ーめぐみさんは現在、どんなお仕事をしていますか?

長崎で介護事業所の経営を始めて8年になります。「えん樹」という軽度の要介護者の方の為のデイサービス(地域密着型通所介護)と、「そよ風」という認知症対応型のデイサービス(認知症対応型通所介護)、ケアマネージャーさんが在籍する居宅介護支援事業所、2021/3月から、訪問介護支援ステーションの4つを運営しているんです。通所介護なので介護認定を受けている方の中でも、比較的元気なおじいちゃん、おばあちゃん達が朝から夕方までの時間を楽しく過ごせる場所を作っています。

私は昔からおじいちゃん、おばあちゃんが大好きなんです。介護の仕事は社会的にもちろん必要なものではありますが、個人的にも大好きな仕事。天職ですね。
利用者さんたちとの触れ合いは楽しいものですし、皆さんのお顔や手のシワ一本一本まで愛おしくて愛おしくて一緒の空間にいるのが私の喜びです。

介護の現場はやることが多くて、介護スタッフのみなさんは本当に毎日忙しく働かれています。どの事業所でも、介護スタッフの方達は、どうしても時間に追われてしまいがち。決められた時間とルールの中で利用者の方とゆっくり触れ合う時間を取るのは大変なことです。自分で事業所を作るなら、他施設ではできないことや、自分自身がワクワクする企画を考えて実現できる場所にしたいと思っていました。

その瞬間の空気感を大事にしたい。

ーめぐみさんの事業所の特徴はどんなところ?

そうですね、私は、できるだけ利用者さんが自由に過ごせるようにしたかったんです。通常、介護施設では決まった時間に食事をして、時間が来たら歯を磨いて…と、スタッフも利用者さんも時間で動いています。

施設では1日の流れが決まっているので、基本的な枠組みを変えることはできないですけど、全てのことが時間通りにならなくても良いと思っているんです。利用者さん一人ひとりのペースも体調も違いますし、普通の大人だって、ゆっくり食べたい日もあれば、もう少し後でご飯を食べたいな、と思う時もありますよね。その日の気持ちや流れを重視して、あまり細かいことはこだわらず温かい対応を心がけています。

食事も、普通は介護士さんが作ることが多いんですが、うちでは栄養士がメニューを組み立ててくれいて調理員が調理してくれます。地元で獲れた旬な食材や御利用者さんが畑で作った食材を使って、栄養も味も良い食事を楽しめます。

あとは、午後の時間を使うレクリエーションの内容は自分でもワクワクできるもの、利用者さんたちの喜ぶ笑顔が見れるものを、と頭を働かせています。施設での時間を笑い溢れる時間にしてもらいたいと思っているんです。

室内に留まらず、花が咲いていたら外に見に行ってみるなど、季節の移り変わりや外の空気を感じられるような企画や、高齢者だからと普段はなかなか参加できないものを、利用者さんに合わせてアレンジしてみたり。何気ない日だったとしても、その日の利用者さんたちの雰囲気を見て、「今日は上げていこう!」と活動的にしてみたり、逆にゆっくり過ごすようにしたり。スタッフ同士が連携してその日その日に合った対応を心がけています。